Sommelier- 連載6(後半) 日本の焼き物を学ぶ方法
一般社団法人日本ソムリエ協会が発刊する会報誌にオーナー井村による7回の連載を掲載:第6回目(後半)
まずは1万をもって、いざ骨董店へ
皆様はワインをどうやって覚えましたか?身銭を切ってワインを買って覚えたのではないでしょうか。実は器もそれとまったく同じ。そこで私は次のように提案します。
「1万円を持って、骨董店に行ってみよう!」
1万円で骨董が買えるのかと思われるかもしれませんが、ぐい呑なのかお皿なのか種類にもよりますが、100年前のものでも実は3,000円ぐらいから買えます。
そこでポイントになるのは漠然と何かを買おうとせずに、目的を持つことです。おすすめとしてはたとえば家族2,3人なら、「お刺身の盛り合わせ皿」と決めることです。その形は四角でも丸でもかまいません。20センチから25センチぐらいのものがいいでしょう。ぐい呑みは小さいので、お皿のほうが骨董の勉強を始めるにはいいかもしれません。
そして、どうせなら老舗の骨董店を訪ねることをおすすめします。たとえば立派な佇まいでも、1万円と限られた予算であろうとこちらはお客さんです。
ですので、お店にはいったら、まずは自分が何を探しているか、そして予算をはっきり相手に伝えたほうがいいでしょう。そうしないとお店側は興味半分の冷やかしで入ってきた人なのか、あるいはちゃんと買おうとしてきたのか、それにより対応はずいぶん違うはずです。骨董店の方とのやりとりには互いの相性もあるので、ここは今ひとつかなと思えば、別の店に行けばよいのです。予算内で気にいったお皿が見つかれば、ぜひお店の人からその焼き物の由来を聞いてみましょう。それがプロから骨董の知識を学べるチャンスになります。
そして自宅で、ぜひお刺身を盛ってみてください。白身と赤身あるいは青魚では器の見え方が違うはずです。あるいはそのお皿に煮物などを盛るとどうなるのでしょう。料理の種類を変えてみて器を楽しんでみてください。
そして、次のボーナスのときには、予算を2万円と決めて、同じように、刺身の皿を探しに骨董店に行ってみてください。こういう経験の積み重ねにより、日々の暮らしのなかで骨董を楽しみながら、自然と知識も増えていくと思います。骨董はずっと使えますし、さらにずっと使い続けた思い出の器は、お嬢さんをお嫁にだすときに持たせるのもいいでしょう。そのお皿には家族の思い出が残っているのですから。
ぜひ勇気をだして骨董屋さんの扉を開けてみてください。
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