京都美商ギャラリー 京都美商ギャラリーは、1961年に京都下鴨で創立した西洋アンティーク・肥前磁器の専門店です。長年蒐集をしてきた経験をもとに、オールドバカラやオールドフランス、古伊万里や柿右衛門などを取り扱っております。量産品ばかりの近年では見られなくなった職人技、手作りの温かみの魅力をより多くの方に身近に感じて頂きたいと考えています。

和物の小話 『葡萄栗鼠』編-武道を律する-

図柄は掘り下げると面白いシリーズ NO.1

 

『葡萄栗鼠』
-武道を律する-

柿右衛門の作品をご紹介
♦️十二代柿右衛門 錦 陽刻梅鳳凰文鉢♦️

 

柿右衛門

 

四方に梅が配置され、見込には吉祥文様のひとつである、鳳凰文が描かれております。

しかし、今回の注目ポイントはそこではなく…|д゚)
この作品にはもう一点、技巧を凝らしてある箇所があります。
皆様、おわかりになりますか??

写真で撮るのが大変難しいのですが…

   
柿右衛門 鳳凰皿1

 

内側面に注目してご覧ください。うっすら模様のようなものが見えてきませんか?
これは陽刻で彫られた葡萄栗鼠(ぶどうりす)の文様です。
陽刻とは、作品の焼成前、素地が固まっていない状態で、型押しやへら彫りを行い、文様を浮き上がらせ立体的に見せる技法です。

柿右衛門 鳳凰皿2

 

見やすい写真はどちらでしょう…
リスのような狐のような動物が楽しそうに走ってます!

柿右衛門 鳳凰皿3

 

葡萄栗鼠文は、豊穣・子孫繁栄を意味する大変縁起の良いもので、古来より伊万里定番のデザインです。

この文様の作品が多数制作されたのには、当時の武家社会が影響しており、武家の人々は『葡萄』を『武道』、『栗鼠』を『律す』と読み替え、『武道を律す』と、語呂合わせで、縁起を担いで親しんでいました。
焼き物のみならず、武具の装飾にも葡萄栗鼠文の作品は多数あります。
かわいらしい栗鼠と武具という一見ミスマッチにも思える組み合わせには、こんな裏話があったわけです。

このような事を知っていると、普段使いのお皿としても愛着が増しますね。

 

 

 

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京都美商ギャラリー

京都美商ギャラリーは、1961年に京都下鴨で創立した西洋アンティーク・肥前磁器の専門店です。長年蒐集をしてきた経験をもとに、オールドバカラやオールドフランス、古伊万里や柿右衛門などを取り扱っております。量産品ばかりの近年では見られなくなった職人技、手作りの温かみの魅力をより多くの方に身近に感じて頂きたいと考えています。

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