2018年のクリスタル旅行記⑦ Saint Louis美術
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フランス王ルイ9世(聖王ルイ)に因んだ名を与えられたクリスタル会社:サン・ルイ
スタッフの旅行記-⑦
スタッフ大野、引き続きクリスタル巡りの旅を続けております!
そして、私的には最大の目的であった「サンルイの美術館:LA GRANDE PLACE」へやってきました!
多くの方が「サンルイ?」と聞いて、なに?となられているのではないでしょうか?
お恥ずかしい話ですが、私自身、入社するまで「サンルイ」を知りませんでした。
では、サンルイとは?
こんな呼び名がございます↓
バカラが「クリスタルの王者」と呼ばれるのに対し、「クリスタルの女神」と呼ばれるサン・ルイ。
サン・ルイ:Saint Louisとは、クリスタル会社の名前です。
スタッフ大野は入社後、このサン・ルイの作品に出合い、一目ぼれしてしまいまして…

リキュールセット 1920年頃
一目ぼれした作品
もっともっとサン・ルイについて知りたいと思い、サン・ルイの工場と美術館があるビッチュ村に来ることを、今回の旅、最大ミッションと勝手に思っておりました!
そして、本当に遠くてですね…
「車でこんな田舎道通るの?」という道でない道を通ったりしながら、目的地に近づくと町がでてきました!
とってもかわいらしい町です(^^♪
念願の美術館!
※本来なら、ガイドツアー(予約制)がありますが、夏休みなのでお休みでした。
工場の横に簡易な感じに作らているような感じがしますが、入ったら圧巻です。
入口には大きなクリスタル作品がお出迎え(^^♪

ワクワクしてチケットを買うも、カメラを首からかけていると注意されました(笑)
「カメラ駄目よ!」って(T_T)
やはり…。中での写真はNGですか。
秘密はもらさないが鉄則なのかしら??????
魅惑的なサン・ルイでございます(笑)
私的な意見しかお伝えできませんが、美術館には思った以上の作品数が展示されてました。かなりのスケールで、見応えがあります!
しかし、館内を撮影できないとなれば、今回はサン・ルイについての歴史のお話にしたいと思います( ̄^ ̄)ゞ
Saint Louisとは?
ヨーロッパ最古ともいわれるガラス(クリスタル)工房
サン・ルイ:Saint Louisとは、クリスタル会社の名前と伝えましたが、フランス語読みです。
英語読みすると「セント ルイ(聖王ルイ)」となり、400年の時を経て、現在ではエルメスの傘下で脈々と続いています。
歴史が古いサン・ルイ。
ホルバール・ガラスという工場が元となっていて、木材不足の原因で1585年に操業を停止し、1586年にサン・ルイの原点であるミュンツタール村に移転します。
※ミュンツタール村ですが、今では「ビッチュ村」と呼ばれており、サン・ルイの工場は今尚この村にあります。そして、今回はこの「ビッチュ村」に訪れています(^^)/
1644年までガラス製造工場として稼働していましたが、その後繰り返された戦争によって壊滅状態。要塞となっていた村は陥落します。
1690年頃になると、ビッチュ村を含むロレーヌ地方全体に平穏が戻り、ルイ14世はビッチュ伯爵領の住民に平穏を約束します。
しかし、それはガラス産業に寄与するようなものではありませんでした。
前回のバカラの歴史でも伝えたように、もともとヨーロッパでは、ボヘミア(チェコ)のガラスが独占市場となっていて、フランスは気づくのが遅かった…。
イギリスは、早くからその遅れに気づき、ガラス産業に着目し、1750年ごろにはイギリス国内での生産技術を確立し始めています。

参考書籍:英国グラスの開花
この頃、フランスのガラスは他国の比較対象にもならなかったようです。
それに不安を抱き、政策をするのがルイ15世です。
一方で「人が住み着かなくなった広大な森林となったビッチェ村の開拓」などといった荒れた国を整えることも必要です。
結果、ルイ15世はガラス製造に必要な条件が元から整っているビッチェ村に、フランス王ルイ9世(聖王ルイ)に因んだ「サン・ルイ王立ガラス工場」という呼称の許可を与え、ガラス産業の活性化を図るのです。
その時(1767年)に提示された王の裁決は下記の7つです。※簡略してます。
1 数基の窯を構えたガラス工場、礼拝堂、住居、粉ひき水車小屋、製材所、機械工場の建設を条件として、半永久的な土地の使用許可
2 建物、窯を炊くため 約1600ヘクタールの土地
3 加工に必要な資材をビッチェ伯爵領で自由に使用する許可
4 職人や農夫、住民への義務と放牧権
5 税の納付と、その利用について
6 ワイン、シードル、ビールなどの税金の免除規約
7 新しいガラス工場に「サン・ルイ王立ガラス工場」の呼称を許可

参考書籍:SAINT・LOUIS
ジェラール・アンゴルド著
街を立て直す政策なのが分かります。
前回の紹介したバカラ村も同様、ガラス工場を作り生産を安定化することが目的であり、ルイ15世はロレーヌ地方に多くのガラス工場を作ります。しかし、その中でも「サン・ルイ」の呼称許可はここだけです。
そんな王室ご用達の地位を築いていくサン・ルイについての研究はまだまだ発展途上です。
京都美商もレゾネや研究するも、ご紹介できるサン・ルイ作品の数はとても少ないです。
バカラとサン・ルイは合併している時期だってあります。
そんな希少なサン・ルイ作品は、デザインがとっても愛らしいんです…
「これ!かわいい!」って思うと。。。
「やっぱりサン・ルイだよね~」ってことはしょっちゅうです(^_-)-☆

ぜひ、作品を見に来てみてくださいね(^^)/
そして、美術館の感想もお伝えできればと思います!
ちなみに、、、、、
イギリスでは17世紀に「鉛を使って輝き、屈折率を高めたクリスタルガラス」の開発に成功し、新たな道を独占して進んでいました。その製造方法を1781年にサン・ルイがフランスで再現し、今の「クリスタルといえばフランス」という道を確立していくんです(^_-)-☆
表にはでない影の立役者だったりします!
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京都美商ギャラリーは、1961年に京都下鴨で創立した西洋アンティーク・肥前磁器の専門店です。長年蒐集をしてきた経験をもとに、オールドバカラやオールドフランス、古伊万里や柿右衛門などを取り扱っております。量産品ばかりの近年では見られなくなった職人技、手作りの温かみの魅力をより多くの方に身近に感じて頂きたいと考えています。
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